脳梗塞とは脳の血管が何らかの原因で細くなるか、つまってしまうことにより血流障害が生じ、その血管から血液を供給されている脳が壊死(えし)してしまう状態です。脳梗塞や脳出血など脳血管障害の死亡率は現在のところ、ガンなどの悪性新生物、心疾患に次いで第3位を占めています。降圧薬の進歩により脳出血が減少している反面、脳梗塞はむしろ増加傾向にあります。病態としてはラクナ梗塞、心原性脳塞栓症(脳塞栓)、アテローム血栓性脳梗塞(脳血栓症)の3つがあります。それぞれの割合は、ラクナ梗塞が50~60%、心原性脳塞栓症が20~30%、アテローム血栓性脳梗塞が20%程度です。生活習慣の欧米化とともに、現在ではラクナ梗塞が減少し、特にアテローム血栓性脳梗塞が増加してきています。
診断・治療
頭部CTやMRIが主流であることは周知の通りです。CTは短時間で終了する簡便な機器ですが、発症後2~3時間以内ではほとんど梗塞部位を検出できません。MRIでは、拡散強調画像(DWI)が発症後1~2時間以内の超急性期の病変を検出可能な撮影方法です。この時点では、T2強調画像でも確認は難しいのです。
さらに、脳灌流MRI(MRI perfusion image)やSPECT(スペクト)、Xe-CT(キセノンCT)などの脳血流検査では拡散強調画像(DWI)で梗塞の所見が得られる前に、虚血部位を確認できます。どの血管が閉塞したかを診断するには、MRIアンギオグラフィー(MRA)、3DCTアンギオグラフィー(3DCTA)、脳血管撮影(DSA)などが行われます。脳塞栓が疑われる時には、心臓内の血栓の有無を超音波検査で調べなくてはいけません。TIAでは、頸動脈の分岐部を中心とした動脈硬化性の病変の有無と程度のチェックが必要であるため頸部エコー、MRAが有効です。
通常では患者さんへの危険が比較的少ない検査(MRI、CT、エコー)から始めます。造影剤などを使用する3DCTAやDSAは、その次の段階で行われます。