A型肝炎ウイルスの経口感染による急性の肝臓の炎症をいいます。潜伏期間は2~6週間、平均30日でありHAV量が多くなると短くなります。まれに劇症(げきしょう)化を示す場合もありますが、慢性化することはありません。ほとんどが1~2カ月で治癒します。原因としては牡蠣(かき)の生食がいわれています。A型肝炎患者の約70%に生牡蠣の摂取の既往があります。したがってA型肝炎は冬期に多発します。また、経口感染ですので一過性にまた局地的(例えば家庭内)に多発することも特徴的です。40歳以上では抗体をもっていることが多いため、年齢別としては20~30歳代が多いようです。
症状
肝炎を起こしてもほとんど症状が認められない場合から、劇症肝炎まで症例により重症度は大きく異なります。一般的に、小児では軽症で成人では症状は強くなります。つまり成人の場合、HAV感染者の大部分がA型肝炎としての症状を発現するのです。
38℃以上の発熱をもって急激に発症するのがA型肝炎の特徴といえます。その後、全身倦怠感・食欲不振・黄疸(おうだん)などの症状が現れてきます。これらの症状は、他の型の急性肝炎でもみられますが、比較的軽快するのが早いようです。小児でも、発症時に発熱はみられますが、全身症状が軽いので、しばしば感冒と診断され、見過ごされることがあります。通常、自覚症状は1週間程度で軽減します。